どうも。繊細で気弱な夏夜風です。
私は、ドラマや映画などのフィクションに対して、ものすごく敏感に反応してしまいます。
そのため、残酷なシーンや物語を見ると、何か月も引きずってしまいます。
たまに夢に出てくることも。
ミステリーなども好きなのですが、残酷な話もあるので最近は避けるようになりました。
そんな中、やっぱり安心して見られるのが「何も起こらないストーリー」
もしくは「日常を切り取ったようなほのぼのストーリー」
今回は、そんなほのぼのとした映画の中でも、人気がある「かもめ食堂」について語っていきます。
あのキノコは何なのか。
最後の猫は、なんの意味があったのか。
かもめ食堂は私のお気に入りの作品です
ほのぼの感が良いしストーリーもあたたかくて人気の作品!
※ネタバレが含まれているのでご注意ください!
~作品紹介~
<公開日>
●2006年3月11日
<監督>
●荻上直子
<出演者>
●小林聡美 (サチエ役)
●片桐はいり (ミドリ役)
●もたいまさこ(マサコ役)
…他
《個人的な好み度》
★★★★ 星4
《おすすめ度》
★★★★星4
~あらすじ~
フィンランドで「かもめ食堂」を開店させた主人公のサチエ。お客が来ないまま日々が過ぎていきますが、そんなある日、日本人女性のミドリと出会い、お店を手伝ってもらうことに。
それでも一向にお客が来ないままでしたが、サチエはシナモンロールを焼くことを突然思いつきます。すると、馴染みある匂いに誘われた地元の人が訪れるように。
少しづつ賑やかになってきたお店に、今度は「飛行機の乗り換えの際に荷物が紛失した」と語る、日本人女性のマサコがやってきます。
何度か訪れるようになった彼女もお店の手伝いをするようになり…。
かもめ食堂の注目ポイント
- 登場人物がユニークで愛らしい
- お腹が空くような食べ物に惹かれる
- 自分のペースで暮らす姿に憧れる
- 何か行動したくなるような物語
- 登場人物のやり取りが面白い
- キノコと猫の謎
この後、注目ポイントについて詳しく紹介していきます
- 丁寧な暮らしに憧れる人
- 海外が好きな人、気になる人
- 美味しそうな料理が好きな人
- あたたかい人間模様を見たい人
不思議な魅力がある登場人物に注目
かもめ食堂の一つ目の注目ポイントは、個人的に登場人物のユニークさだと思います。それぞれ優しさがあり、相手の事情や気持ちに踏み込もうとはしません。
あくまで他人は他人で自分は自分。といった感じなのですが、人との接し方や感性に、それぞれ個性があって面白いし、いつの間にか愛おしくなってきます。
心にゆとりがあるサチエ
主人公のサチエは、お客が全く来ないお店を経営しており、同じような毎日を過ごしています。
そんな彼女を地元の人は「客がいるのを見たことが無い」と話していたり「あの子は子供?大人?」などと好奇な目で見ていました。
しかし、サチエは焦ったり不安になっている様子はありません。もちろん、お客が来ることを期待してはいますが、どこか心にゆとりを持っているように思えます。
「お客がずっと来なかったら、その時はその時。」という気持ちがあり、お金や成功にしがみついていません。
無邪気さを感じるトンミ・ヒルトネン
ある日、日本人かぶれのトンミ・ヒルトネンという男性がお店にやってきます。この男性も不思議な存在で、毎回日本に関連する服を着ていたり、日本について質問していたり…。
どこか無邪気な雰囲気があり、そんな姿に癒されます。
また、彼はサチエに「ガッチャマンの歌」の歌詞を教えて欲しいと言います。サチエは歌詞を思い出せないまま町に出ます。
あるお店に立ち寄ると、一人の日本人女性を見つけます。
行動力があるミドリ
サチエが見つけたその女性がミドリ。
彼女はフィンランドに観光に来たわけでもなく、仕事で来たわけでもありません。
「遠くに行ってやろう」という気持ちで世界地図を広げ、目をつむりながら指さした場所がフィンランドだったのです。
ミドリはサチエのお店を手伝うことになるのですが、サチエ以上にお店のことについて考え、行動を起こします。
どこか人見知りのような面もあり不器用な所があるのかもしれませんが、行動力は人一倍なのかもしれません。
大人の余裕と優しさがあるマサコ
ミドリの行動力とサチエのひらめきで、お店は少しづつ賑わうようになっていきます。そんな中、お店に訪れた日本人女性マサコ。
彼女は「飛行機の乗り換えの時に、荷物が無くなった」と語ります。しかし、彼女も焦っている様子はありません。
また、フィンランドに訪れた理由がとくにあるわけでもなく、どのくらい滞在するのかも決めていません。
不思議な雰囲気を持っているマサコですが、悲しい思いをしたフィンランド人の女性を介抱して寄り添う姿が印象的。大人の余裕感と優しさを感じます。
悲しみを持った女性リーサ
マサコがお店に訪れる前にフィンランド人のリーサという女性が、お店を睨むように見つめていました。
サチエもミドリも理由が分からず困惑していましたが、ある日リーサはお店に入ってきます。彼女はその時すでに泥酔状態で、強いお酒を飲んだ後にその場で倒れてしまいます。
サチエやミドリ、その場にいたトンミヒルトネンとマサコの4人に助けてもらいます。実は彼女は、ある出来事が原因で悲しみに暮れていました。
しかし、マサコやサチエに寄り添ってもらうことで、自分の心を取り戻していきます。
突然現れた謎の男性マッティ
最初の頃に、マッティという男性がお店に訪れます。彼は、コーヒーが美味しくなるおまじない「コピ・ルアック」をサチエに教えます。
サチエはそれから、おまじないをしてからコーヒーをいれるようになり、飲んだ人の反応も良くなります。
マッティはサチエにおまじないを教えただけの存在かと思いきや、実は彼にも秘密があるのです。
たまに出てくる登場人物にも個性があるので注目です
登場人物たちの距離感が近づいていくのも見どころ
お腹が空いてしまう美味しそうな料理も必見
「かもめ食堂」というだけあり、この映画では食べ物が出てくるシーンが多いのですが、夜中に見てしまうとお腹が空いてくること間違いなしです。
からあげを揚げる音が響くシーンは、本当に唐揚げを食べたくなりますし、おにぎり食べたい…!という気持ちにさせられます(笑)
映画の中ではフィンランド料理ではなく日本食が出てくるのですが、それがまたホッとできる理由かもしれません。
サチエは日本食にこだわっていたり、大切にしているので共感できる人はたくさんいると思います。
自分のペースで暮らすことの大切さに気付かされる
サチエは焦ったり不安になったり、何かに執着するような素振りを見せません。どこかゆとりがあって自分のペースで暮らしているように思えます。
ちょっとしたこだわりを持ちながらも、そのこだわりに固執するのではなく、考えなどを柔軟に変化させていきます。
サチエのように、自分を変化させたり、他人を受け入れながらも自分のペースで過ごすというのは難しいこと。
他人を優先して自分のことは後回しにする人は多いと思いますが、サチエのように自分に合わせた過ごし方がとても大切だと気づかされます。
この映画を見ると行動を起こしたくなる
ミドリは「遠くへ行ってやろう」「来てやろう」という気持ちでフィンランドまで来たようですが、それも行動力が無いと出来ないことですよね。
もしかしたら半分は勢いだったのかもしれませんが…。
お店を手伝うと言い出したり、メニュー表にアレンジを加えていたり、お店のためにおにぎりの具を買って来たり…。
この映画の中で、ミドリが一番動きのある人物ではないかなと思ってます。
でも、サチエやマサコも行動力があると思うんです。サチエが行動したから、お店が始まって色々な出会いがあったわけで。
そして、マサコが今までの足かせから解放されて、フィンランドに来たことでリーサを助けることが出来た。
3人が行動したから出会いがあったって考えると「自分も行動したい」っていう気持ちになれるんだよな
私は海外に一人で行ってみたいって思えるようになったし、何かに挑戦したい気持ちになったよ
登場人物たちのやり取りや行動が面白い
個人的に好きなのは、トンミヒルトネンとミドリのやり取り。
最初ミドリは彼に対して警戒心があったようにも思えるのですが、触れ合っていくにつれて仲良くなっていくんです。ここにも注目してほしいです。
また、後半の方で「藁人形の呪い」の話になるのですが、ミドリがサチエに「(呪いを)やったことあります?」と聞くと
「ありませんよ、普通ないでしょ」と笑って答えながらマサコをみるのですが…。
マサコは何も答えず、どこかをじっと見るのです…。ここはクスっと笑えます。
マサコさんはきっと色々な経験をしてきたんだろうね…(笑)
あとミドリとサチエの会話も癒されますね。
サチエが「世界が終わるとき、好きな人だけを呼んで、美味しいものをたくさん食べたい」という風に言うのですが、それに対してミドリは「私も呼んでもらえますか?」と聞くんです。
サチエは「ガッチャマンの歌を完璧に覚えてる人に悪い人はいないですから」と笑って答えるのですが、このシーンに私は癒されるんですよね。
あとはミドリの反応とかが面白いな!
そうそう。お店のことを一生懸命考えてる所とか、どこか寂しがり屋のような面が見えたりとか…可愛らしい人だなと思う
あのキノコと猫の謎(ネタバレ注意)
かもめ食堂を見ている人は分かると思うのですが、この映画の謎はあのキノコと猫ではないでしょうか。
マサコが森に行ってキノコ狩りをするんですが、途中ですべてを落としてしまうんです。
その後、無くなった荷物が届くのですが、何故かその荷物に落としたはずのキノコが入っているのです。
しかも、そのすぐ後に猫を預かることに…。
このキノコと猫はどういった意味があるのか、個人的に考えたことを書いてみます。
キノコと猫の意味とは?
荷物を無くして数日が経つマサコに「困りましたね、大事なものも入ってるでしょうし」とサチエが言うのですが、マサコはそれを聞いて「大事なもの入ってたかしら…」と、大事なものを思い出せない様子。
思い出せないというより、彼女にとっての大事なものが入っていなかったのかもしれません
その後、マサコはトン・ミヒルトネンの一言で森に足を運び、キノコ狩りをします。
森では、たくさんの木が揺れる音、動物の鳴き声が静かに響いており、その中に囲まれた彼女はどこか癒されているような、落ち着いた表情をしています。
マサコはここで、自分が求めていた大事なものに無意識に気づいていたのかもしれない
しかし、せっかく採ったキノコはいつの間にか無くしてしまいます。
そして最後には、やっと荷物が見つかり「そろそろ帰る時期」と言って、お店を出ていきます。
そしてホテルに戻り荷物を開くと、黄金のように光ったキノコが入っているのです。
困惑しながらも航空会社に「私の荷物、ちょっと違うみたい」と連絡するマサコ。
すると何故か猫を抱っこしたおじさんが現れて、その猫を彼女に渡します。
結局、お店に戻り「変なおじさんに猫を預かった」「帰れなくなったので、まだこの町にいようと思う」とサチエとミドリに伝えます。
マサコの表情は困ったわけでもなく、落胆しているわけでもありません。どこか楽しそうな、嬉しそうな顔をしているようにも思えます。
もしかしたら、フィンランドに来て本当に大事なものが何か、知りかけた彼女をここに引き留めるためのキノコだったのかもしれません。
日本から持ってきたものは大事なものでは無かった。
本当に大事なのは、心のやすらぎや癒しだということを知るために、キノコによって彼女が引き留められたのでは…と思っています。(笑)
そして、最後に預かった猫はここにいる理由。「ここにもう少しいたい」というマサコの気持ちに気づいたおじさんが、猫を託したのかも…と考えています。
真面目なマサコは、ずっとこのままで良いわけじゃないと思っていて、荷物が見つかったタイミングで帰ろうとしたのかもしれません。
でも、心のどこかでは、まだココにいたいと思ってたのではないでしょうか。
キノコは、ここから離れない「きっかけ」かな
なら猫は、ここにいる「理由」かもしれないな
かもめ食堂は何度も見たくなる名作映画!
かもめ食堂はこれまで何度も見ているのですが、見るたびに色々な感情が出てくるんです。
「前はこのシーンに対して何も思わなかったのに、今回見てみたら面白いシーンだな」と思えたり。
本当に力を抜いて見ることが出来ますし、癒しを与えてくれるのでおすすめの作品です。
疲れた時や何も考えずに映画を見たい時、あたたかい優しさが欲しい時にこの映画を見ると、頑張ろうと思えるのではないでしょうか。
心に寄り添ってくれるような物語だから何度も見たくなるね
最後まで優しい世界観だし、ユニークな場面もあって飽きないしな
キノコの謎や、個人的に面白いと感じた部分を語っていきましたが、皆さんはこの映画をどのように感じるでしょう。
色々な解釈や受け取り方があると思いますが、それがまた面白いところですね。
まだ見ていないという方は、ぜひご覧ください!
最後までご覧いただき、ありがとうございました。