《感想》「たちあがる女」今見るべき?現実問題をユーモアに、そして厳しく教えてくれる映画。※後半ネタバレ
引用:公式サイト「たちあがる女」より
どうも、自然の中を散歩したい夏夜風です
自然って癒されるよな
当ブログをご覧いただきありがとうございます。
この記事では、前から気になっていたアイスランドの作品、
「たちあがる女」
について語ります。
自然を愛するアイスランドの女性ハットラは、自然環境を守るためにアルミニウム工場に戦いを仕向けます。(割と一方的に笑)
しかし、そんな彼女にも母になるという夢があり、それがとうとう叶えられようとしてましたが…。
彼女はただの犯罪者なのか、自然を守ろうとする英雄なのか…。
この作品は、想像以上のものを心に残してくれた作品でした。
ただ”環境問題”や”紛争”についても語られているシーンがあるので、影響を受けやすい方や繊細な方は少し心の準備をしてから見た方が良いかな…と思います…!(汗)
そして長めに感想と考察を語っているので、気になる見出しがある場合は目次から飛んでいただけると嬉しいです!すみません!
~作品紹介~
<公開日>
●2019年3月9日(日本)
<監督>
●ベネディクト・エルリングソン
<キャスト>
●ハルドラ・ゲイルハルズデッティル (ハットラ/アウサ役)
●ヨハン・シグルズアルソン (ズヴェインビヨル 役)
●ヨルンドゥル・ラグナルソン (バルドヴィン 役)
…他
《環境問題を考えさせられる度》
★★★★★星5
《愛と優しさと強さ度》
★★★★星4
《おすすめ度》
★★★★星4
~あらすじ~
アイスランドの田舎に住む女性ハットラは、合唱団講師をしながら”環境活動家”として暗躍していました。
彼女は愛する自然のためアルミニウム工場と闘っていましたが、そんな彼女に母になるチャンスが訪れます。
養子を迎えるため、アルミニウム工場との戦いに決着を付けようとしますが…。
「たちあがる女」の注目ポイント
- ユニークでリアルな音楽
- 姉の存在
- 現代が抱える環境問題
この後、注目ポイントについて詳しく語ってくぞ
- きれいな自然を見たい人
- 心に残る作品を見たい人
- 問題提起をしている作品が好きな人
ストーリーの感想
「たちあがる女」の予告を見たときに、ぜひこれは見たい!と思って期待していたんですが…
期待値を上回るほどおもしろい!
他にはないユニークな演出や、主人公の面白さ、どうなるか分からないストーリー展開などなど、引き込まれる要素がたくさんあって満足度も高かったです。
ただ正直、ストーリーの矛盾やご都合主義感は否めないんですが…個人的には、それも良しと思えました(笑)
そのくらい面白い部分やユニークな所があったんですよね。
ただね、決して笑えない”現実問題”を突きつけられて、心に引っ掛かりを残していった作品でもあります。
ちょっと詳しく語っていきますね。
最初は軽く、ユニークな演出について。
ユニークな音楽が魅力的
まず最初に引き込まれたのは音楽の演出方法です。
BGMをただ流すんじゃなく、主人公のうしろで3人の音楽隊が楽器を鳴らすんです。
彼らが気になるんだけど、邪魔にならない控えめな存在感だから平気という(笑)
そして、ある時には3人の女性が歌声を響かせていることも。
その場で音楽が響いているから臨場感もあるし、リアルな音楽がこちらまで届くのがすごく良い。
彼らが現れるのを楽しみにしている自分もいました(笑)
アイスランドの自然や町並みともマッチしていて、余計に良かった。
そしてもう一つの魅力は、主人公のたくましさと運の良さです。(笑)
主人公のたくましさと運の良さに驚く
思わず笑ってしまうほどの強さとたくましさを持っている主人公のハットラ。
「そんなことまでする!?」と驚きを隠せませんでした。(笑)
とにかくたくましいし、ただじゃ転ばない!っていう感じがあるんですよね。
しかも、お茶目な所もあるから、なんとなく憎めないし愛おしくなってくるという…(笑)
でも、政府は”危険な存在” "過激なテロ行為”として敵視するんです。
それがもどかしい…
たしかに、政府だって国や市民を守らなきゃいけないから警戒するのも分かる…でも彼女の気持ちも理解してあげて…!と思ってしまう私です…。
それに、ハットラはかなりの運の強さがあるんですよ。
「え、それバレないの?」「よく逃げ切ったね?!」と思えるシーンが度々あるんです(笑)
設定的には、神の采配的なやつなのかな…なんて思ったり。
こういう部分に若干のご都合主義は感じますが、それもあえての事だと思ってます。
しかし…ただ面白くてユニークなだけじゃないのが、この作品の良い所でもある…。
環境問題を訴えかける作品
主人公のハットラは自然を守るために闘うんですが、政治や世間はそれを理解しません。というよりハットラのやり方が極端だから皆が納得できないんですが汗
彼女は、警察に追われても政府から警戒されていても、闘いをやめようとはしません。
そして、彼女はとうとう政府に宣言するんですが、その時の言葉が個人的に響きました。
「我々こそ過去最強の世代であり、地球に仕掛けられた戦争を止められる最後の世代だ。子供や孫たちの代では手遅れになる。」
引用:「たちあがる女」
この言葉は監督の言葉でもあり、この作品を通して監督が訴えたいことを届けているように思えました。
また、映画の中のテレビでは、異常な災害によって苦しんでいる人達が映されているんですが、それはおそらく現実の映像なんじゃないかと。
ユニークで面白さが目立つ作品だからこそ、余計に問題の大きさを強く感じられるようでした。
ユーモアあふれる作品だけど、笑い事では済まされない問題を抱えていることを突きつけられた気持ちです。
ここからネタバレありの感想と考察
ここからネタバレありなので、ご注意ください…!
個人的に気になった姉の存在と、音楽隊の謎、そして外国人旅行者について語ります。
姉の存在
ハットラの双子の姉アウサは、妹とは少し違う信念を持っているようでした。
とても似ている2人だけど、対極にいるような感じです。
例えば、ハットラは現実主義者で
アウサは理想主義者
という違いがあるように思えます。
そして、アウサには妹には見えていないものが見えている気がします。
「捕まった妹を逃がし、母になることを勧めた彼女には何が見えていたんだろう…」と考えてしまいます。
アウサ本人が言っていたように、刑務所を自分の僧院”アシュラム”とし、修行することを決めたんでしょうか。
それと同時に、”妹の罪をかぶるという罪”をここで償う…というのもあるのかな。
だけど、この世界にハットラの存在が必要であるとも、アウサは思っていそうだな。
そして妹になり替わった時、看守に言っていた言葉も興味深い。
アウサ「ナマステ」
看守「どういう意味?」
アウサ「あなたの外側でなく、内側に挨拶したの。神聖で善なるあなたに、ナマステ。」
引用「たちあがる女」
”外側”というのは、この世界で身に着けた固定概念などの事を指し、”内側”は純粋無垢な魂…ということなのかな?難しいですね!
まぁ、とにかく言いたいことは、ハットラとアウサを演じた女優さんが凄いということです!
音楽隊たちの謎
6人の男女が音楽を響かせていましたが、不思議なのは彼らが外国人旅行者の男性に見えていたこと。
他の人達には見えなかったのに、なぜ彼には見えたのか。
そして、ハットラがニーカを迎えに行こうと空港に向かった時、楽器を鳴らす男性が1人だけになっており、彼女はそのことにも気づくし不思議に思っているんですよね…。
これは私なり考えてみたんですが彼らの音楽はハットラ自身の精神的な状況を表しているのかな…と。
だから、楽器を鳴らす男性が1人しかいなかった時は、彼女の心が「これでは良くない」もしくは「不穏な雰囲気」を感じ取っていたのではないかと思ってます。自分の行動に引っ掛かりがあったのかも。
でもハットラはそれまで音楽隊の存在に気づいてなかったのかな…?というか、ただの演出ということかもしれませんよね…🤣
では外国人旅行者にも見えていた理由は…?
外国人旅行者の謎
外国人旅行者の男性にも音楽隊が見えていたのは、彼もハットラと共鳴する部分があったからかもしれません。
まず、男性は全く罪を犯していないのに、なぜか疑われてしまうわけですが…
これは差別問題を示しているんだと思うんです。
彼は見た目だけで判断され続けたのかもしれません。
そして、そういった境遇の彼もまた、人を導く使命がありハットラの心の内に鳴り響く想いを受け取ったのかもしれません。
…こうなると妄想の域になってしまう気がするけど…(笑)ごめんなさい。
まとめ<小さな行動が世界を動かす”きっかけ”になる>
水辺に1つの石を投げ入れたら波紋が広がるように、ハットラの小さな行動は世界を動かす”きっかけ”になっていたら良いな~と、思ってしまいます。
ただ、争いの火種になるような行動は考えないとですよね。
映画の中では”ウクライナ”が度々出てきますが、ウクライナの環境問題や現状について本当に色々考えてしまいます。
最後、ハットラは何を思っていたのか…。そこも気になってしまいます。
深い意味を残してくれた「たちあがる女」が気になった方は、よければ観てみてください!
ここまでお付き合いしてくれた方がいたら、本当にありがとうございます(泣)
少しでも見てくれた方にも感謝です…!
それでは今日はこの辺で。最後までご覧いただきありがとうございました!