繊細女子の映画語り

繊細女子の映画語り

映画や、たまにドラマの感想を語っていきます。繊細さんでも見られる作品を語ります。(主観ですが汗)

《感想と考察》名作映画「スタンド・バイ・ミー」過酷な現実と友情が作り出した少年の思い出

どうも、キラキラな青春を経験してない夏夜風です!

常に青春を味わってる、相棒の夏猫だ!

 

今回は、先日の金曜ロードショーでも放送された「スタンド・バイ・ミー」について語っていきます。

 

 

ずっと気になってたものの見たことが無くて…でも、いざ見てみるとまた見たいと思えました。アマゾンプライムで見て、金曜ロードショーでも見ました(笑)

 

 

レビューで「青春を思い出す」「懐かしい気持ちになる」と書いてあったのでワクワクしていたら、意外と厳しい現実が待っていて個人的には複雑な気持ちになってしまいました。

 

 

私は主人公たちのような青春を経験していないので、理解できていない部分もあるかもしれませんが、個人的に感じたこと、思ったことを書いていきます!

 

 

※ネタバレがあるのでご注意ください!

~作品紹介~


www.youtube.com

<公開日>

1987年4月18日

 

<監督>

ロブ・ライナー

 

<原作>

スティーヴン・キング

 

<キャスト>

ウィル・ウィートン (ゴーディ 役)

リチャード・ドレイファス (大人のゴーディ 役)

リヴァー・フェニックス (クリス 役)

コリー・フェルドマン (テディ 役)

ジェリー・オコンネル (バーン 役)

…他

 

《個人的な好み度》

★★★★星4

《おすすめ度》

★★★★星4

~あらすじ~

有名作家のゴーディは「弁護士、クリス・チェンバーズ刺殺される」と新聞紙に書かれているのを見て、自身の昔のことを思い出します。

 

12歳の頃、親友のクリスや、仲間のテディバーンと仲良くしていました。

 

ある日、バーンは不良の兄達の話を盗み聞きし、それをゴーディ達に話します。内容は「行方不明の少年が遠くの森で列車に轢かれ、死んでいる」というもの。

 

皆は、死体を見つければ有名になれると騒ぎます。バーンやゴーディはそこまで乗り気ではないものの、見つけに行くことに賛成します。

 

少年達がそれぞれ抱える問題や葛藤、そして厳しい現実に苦しみながらも、危険な大冒険に挑むのです…。

スタンド・バイ・ミー」の注目ポイント

  • クリスとテディの存在感に圧倒される
  • 彼らの世界にどっぷり浸かってしまう
  • 少年の葛藤と友情が泣ける
  • 冒険を経て成長する少年達

下で注目ポイントを詳しく語ってるぞ!

どんな人におすすめ?
  • 青春時代を思い出したい人
  • 確かな友情を感じたい人
  • 冒険をしてみたい人

葛藤や現実に苦しむ少年達

性格の違いや個性の違いがありながらも、友人として冒険をする4人の少年。それぞれ心に抱える問題に苦しみます。

 

愛されない苦しみを持つゴーディ

主人公のゴーディは、唯一の理解者である兄・デニーを自動車の事故で亡くします。兄はアメフトの選手で性格も良く、両親や周りから期待されていました。

 

そんな息子を亡くしてしまった両親は、悲しみに暮れてゴーディに興味を示さず、愛情も注ぎません。元々父親は、スポーツが優秀な兄にしか興味が無かったよう。

 

そんなこともあってか、ゴーディは父親に愛されていないと思い込んでしまいます。「お前が代わりに死ねば良かった」と父親に言われる夢を見てしまうほど、苦しんでいるのです。

 

家庭環境と周りの目に苦しむクリス
 

 

クリスは、アルコール依存症の父親、不良の兄がいる家庭で育ったため、彼自身も周りも、クリスは将来悪い人になると思っていました。

 

しかし、彼はガキ大将でありながら友達に優しく接し、危ない所を助けるような正義感があります。

 

ただ、それを知っているのはゴーディ達だけ。周りの大人は家庭環境でクリスの事を判断するため、そのことに彼はとても苦しみます。

 
虐待されながらも父を尊敬するテディ

 

テディは、激怒した父親に耳を焼かれてしまうなどの暴力を振るわれていました。父は戦争のトラウマがあり、病院にも入院するほど精神的に病んでいたようです。

 

子供にとって良い親とは言えないかもしれませんが、テディはそんな親を尊敬し、愛していました。

 

父親を罵られた際に「ノルマンディの勇士だぞ」「父さんを馬鹿にしたら殺してやる」と激怒するほど。

 

天然で臆病なバーン

バーンは他の3人のような苦しみは持っていないようですが、とても怖がりというか臆病な面があるんです。そのため、冒険に行くことをためらっていました。

 

とても危険な目に合っていたり…。また、少し天然と言うか抜けている所もあるため、仲間を度々イライラさせていることも…。

 

ただ、彼がいなければ大冒険は始まらず、彼らは大きな成長もしなかったでしょう。

注目ポイントについて詳しく紹介

初めてこの映画を見て、率直に思ったこと…それは、クリスとテディの存在感が強い!

 

 

そしてこわい!ということでした…。

 

 

だけど、物語が進むにつれて2人とも普通の少年なんだと感じるように。

 

 

これは余談ですが、見終わった後クリスを演じられた方が気になって調べてみたら、20代で亡くなってたんですね…。凄く驚きましたし、ショックでした。

 

 

将来もかなり期待されていたみたいですが、そんな方だからこそクリスを演じることが出来たんでしょうね。

 

 

ではでは余談は終わって、注目ポイントについて詳しく語ります↓

クリスとテディの強い存在感が良い

2人は最初の、秘密基地でトランプをしているシーンから存在感がありますよね。クリスとテディは慣れたようにタバコを口にくわえ、トランプをしているんです。

 

 

個人的にこのシーンを見ただけで、この2人ちょっとこわい!と思っちゃったんです。不良少年なのかな…?と…。

 

12歳という感じがしないんです。大人びてるように見えたんですよね。

 

 大人のゴーディのナレーションでも「テディは、とても無茶な男」「クリスはガキ大将」と語っているんです。

 

 

ただ、そのナレーションが無かったとしても、雰囲気だけで伝わってくるんです。

 

 

それだけ演技が凄いということですよね。

 

 

とくに、クリス。表情も喋り方も、大人と変わらないじゃないか…と。だけど、少年のあどけなさとか、怯えている部分も分かるから凄いですね。

 

 

テディも、とても難しい役のはずなのに違和感が無いんです。

 

 

また、物語では2組に分かれることが度々あるんですが、ゴーディとクリス、テディとバーンに分かれるんです。

 

 

これもまたバランスが良いではないかと。

 

 

強さと威厳があるクリス真面目で弱さを感じるゴーディ

 

 

そして、無茶をするテディ臆病なバーン

 

 

強弱が分かれる組み合わせなので、アクが強く感じることも少ない。

 

 

こういったこともあり、最初はクリスとテディに目が行きますが、途中からゴーディとバーンにも魅力を感じるようになりました。

4人の世界にどっぷり浸かってしまう

最初から最後まで、彼ら4人の世界に浸かってしまうんです。もちろん、彼らがフォーカスされて、他の登場人物もあまりいないためでもあるんですが…。

 

 

だけど、冒険している間の世界は完全に彼らだけのものなんです。

 

 

良いことも悪いことも危険なことも、それすら自分たちのものにして味わっているというか。

 

 

子供同士で遊んだり何かをやるって、こういう感じだったなと思い出せるかもしれませんね。 

 

小さな世界に思えても、いつの間にか自分たちだけの世界が無限に広がってる感じだな

 少年の葛藤と友情が泣ける

ゴーディとクリスは、お互いに抱えていることを泣きながら打ち明けます。

 

 

クリスはまわりの大人に誤解されて信用されず、悪いことはクリスがやったと決めつけられてしまうことに苦しんでいました。

 

 

そしてゴーディは優秀な兄と自分を比べられたり、父親に関心を示してもらえず愛情も注いでもらえないことに深く傷ついていました。

 

 

これを見て、子供の頃って些細なことでも大人の思い込みで勝手に誤解されることがあったよな…と思いました。それを否定したくても聞いてくれないし、信じてくれないことも。

 

 

それだけでも辛いのに、クリスは大人の勝手な先入観にどれだけ振り回されているのかと考えると泣きそうになりましたし、自分の息子に「自分は愛されていない」と思わせるゴーディの父親を憎らしく思いました。

 

 

だけど、2人はお互いに寄り添って話を聞いてあげるんです。

 

 

「女々しいよな」と泣くクリスに対して首を振るゴーディ。「パパは僕が嫌いなんだ」と泣くゴーディに対して「君はきっと大作家になる」と優しく言うクリス。

 

 

大人によって傷つけられた心は大人に癒してもらえないし、2人はそのことを分かっていて、だから、お互いに打ち明けて励まし合っていたのかもしれません。

 

 

この2人の葛藤と優しい友情が泣けました。

 

親友によって、傷ついた心が癒されていたら嬉しいですね

冒険を経て成長する少年達

彼らの冒険は、ただ楽しくてワクワクするようなものではありませんでしたが、だからこそ少年達はいつの間にか成長していたのではないでしょうか。

 

 

自分たちだけで未知の世界に踏み入れて恐ろしい存在にも打ち勝ち、元居た場所へと帰った4人。そこで、クリスやゴーディは、自由な世界に行きたいと思うようになるんです。

 

 

冒険に出るまではこの小さな町が自分にとっての全世界だったけど、戻って来た時に、この場所以外に道はあると気づくんです。

 

 

冒険の途中で、中学に入ってもクリス達と友達でいようとするゴーディに対して、クリスは「自分を落とすな」「俺たちといると、頭が腐る」と言うんです。

 

 

つまり、自分は下にいる人間だと思ってるんですよね。だけど、最後には町を出て努力をし、自分が望む道へと進むんです。

 

 

それはきっと自分の中の世界が広がったからじゃないでしょうか。自分が行ける場所はいくらでもあると気づいたのかもしれません。

 

 

ゴーディも、小説家になれるという夢から目を背けていましたが、大人になった彼は有名作家になっています。

 

 

親の身勝手な意思に振り回されて夢を諦めかけたけど、成長した彼は自分が進むべき道を選んだのです。

 

大人に振り回されずに、自分の道を進んでくれたことが嬉しいな

疑問に思った部分について考えてみる

スタンド・バイ・ミーを見て、疑問に感じたことを自分なりに考察してみようと思います。

なぜテディは父親を尊敬して愛していたのか?

これは、何となく分かるような気がするんです。どんな親でも子供にとっては唯一の存在だし、子供の時ってなおさらですよね。

 

 

ただ、虐待されてもここまで尊敬しているのには訳があるのかな…と。

 

 

テディが言っていた「ノルマンディの勇士」のノルマンディというのは第二次世界大戦で起きた侵攻作戦のことで、歴史上において規模が最大の作戦だったみたいです。

 

 

そんな戦いを経験し、帰って来た父親を尊敬するのも無理はないのかもしれません。それに、優しい父親の面もあるかもしれませんよね…。

 

 

だからこそ、トラウマで精神的に苦しんでいる父親を全力で理解して愛そうとしているのかなと思っています。

テディが危険行為をしていた理由は?

テディは無茶なことをする男の子でした。物語でも、列車が来ているのにギリギリまで線路から離れず、度胸試しをしていました。

 

 

避けられるという確かな自信があったようで、クリスに助けられるとテディは怒ります。

 

 

なぜテディは危険な行為をしてしまうのか?と考えたとき、それも父親の存在が影響してるのかなと。

 

 

命を張って戦争から戻って来た父親を尊敬するテディは、危険な行為がカッコ良いものとして見えていて、憧れているのかもしれません。

 

 

もちろん、性格上の理由もあるかもしれませんが。

 

 

ただ、テディは虐待によって精神的に不安定になっている可能性もあるため、そういった危険な事をするのかな…とも考えています。

なぜクリスはここまで大人びているのか?

クリスは最初から最後まで、皆のリーダーという感じですよね。ゴーディに対しては、本当のお兄さんのようにも思えるほど。

 

 

彼も弟の立場なのに、なぜこんなにも大人びているのか。

 

 

それってやっぱり、頼れる人も、甘えられる存在もいないからでしょうか。父親はアルコール依存。兄は不良グループに属している。

 

 

まわりの大人は、こういった家庭環境でクリスのことを判断する。

 

 

そのため、クリスは無理やりにでも大人にならなければいけなかったんでしょうね。元々の性格が大人っぽいのかもしれませんが…。

 

 

ゴーディを一番気にかけていたのは、本当に弟のように思っていたかもしれないし、クリスにとって彼が心のよりどころだった可能性もあるのかな…と。

ゴーディが帰ろうとしなかった理由は?

物語の後半で4人はヒルに噛まれてしまうのですが、ゴーディのパンツの中にもヒルが忍び込んでおり…それが理由でゴーディは気絶してしまいます。

 

 

彼は目を覚ますものの呆然としていて、その姿を見たクリスは連れて帰ろうと考えるのですが、ゴーディは怖い顔で「帰らない」と先へ進みます。

 

 

本人のナレーションでは「なぜ死体を見たかったのか分からない。だが、たとえ一人でも、私は行くつもりだった」と語っています。

 

 

精神的に相当なダメージを受けたはずなのに、なぜ頑なに帰ろうとしなかったのでしょうか。

 

 

どうしてそこまで死体を見たかったのでしょう。

 

 

個人的にはいくつかの理由があるんじゃないかと思っています。

 

 

一つは単純に目標の達成。

 

 

最初に〈死体を見つける〉という目標を皆で立てていました。そのため、ここまで来たら目標を達成してやろう、見つけてやろう、という思いがあったのでは。

 

 

引き下がれないというよりは引き下がりたくないと思ったのかもしれません。

 

 

二つ目は父親を見返すこと。

 

 

ゴーディの父親は、兄ばかりに注目して未だにゴーディを構おうとしません。だから、そんな父親を見返すためにも、どうしても死体を見つけたかったのではないでしょうか。

 

 

死体を見つけたと通報することで有名になり、父親の関心を自分に向けることが出来ると思っていたのではないかと考えてます。

 

 

「自分だって出来るんだ」と思い知らせたかった可能性もあるかもしれません。

 

 

そして最後の理由は自分の殻を破って成長するため。

 

 

ゴーディはずっと優秀な兄と比べられ、劣等感に苛まれていました。また、文才があるのに父親にも褒めてもらえず、作家になることも諦めかけていました。

 

 

そのため自信を持てずに殻に閉じこもったまま過ごしていましたが、このタイミングで自分の殻を破りたい衝動に駆られたのかもしれません。

 

 

内向的で自信が無い自分を変えて成長するため、無意識に大きな挑戦に挑もうとしていたのかなと考えています。

<終わりに正直な感想>勇気を貰えるけど厳しい現実に辛くなる

スタンド・バイ・ミー」は、多くの人に勇気を与えたり、懐かしい記憶を思い出させてくれるかもしれません。

 

 

ただ、厳しい現実も突きつけられるので、晴れやかには終われないな…と。

 

個人的には、勇気と辛さを残す作品だと感じました

 

幸せになっているはずの主人公に対して、両親に関心を示してもらえたのか、愛されていると感じられるようになったのか考えてしまって。

 

 

クリスだって自分に進みたい道を見つけて奮闘していたはずなのに…という気持ちも出てきてしまいます。

 

 

テディと父親の関係もどうなったのか気になります。父親の精神がなんとか安定して、テディに愛情を注いでいてくれたら…とも思いますが、最後のナレーションの説明を聞くと、それは難しかったのかもしれません。

 

 

子供の時の傷とかトラウマって大人になっても消えないことが多いと思うので、とても気になってしまいました。

 

でも、また見たくなる作品だと思う!

 

少年たちが苦しんでいるシーンは辛くなりますが、皆が笑っていたりふざけているシーンは好きなので、何度も見ようと思っています。

 

 

それでは、今回はこれで終わろうと思います。最後までご覧いただき、ありがとうございました。