絵が下手なのは許してくださいネ…。
どうも、気弱女子の夏夜風です
今回は、ただ日常が過ぎていく映画「めがね」について語っていこうと思います。
めがねは、ベルリン国際映画祭で賞を受賞している作品。これは日本映画初となる快挙で、未だに多くのファンがいます。
この物語では何か特別なことが起きるわけではありません。
ただゆっくりと一日が過ぎていき、主人公の気持ちに少しづつ変化が現れるというお話。
のんびりしていて、ぼーっと見れる作品です。
ただ、見る人によっては不気味に感じる部分もあります…
不気味と言ってもクスっと笑えるようなものだけど…(笑)
携帯電話が繋がらない場所で主人公は何に気づいたのか。
めがねの意味とは?
ちょっと怖く感じたり、不気味に思えたりする理由は?
などなど…自分なりに考えたことなどを語ります!
※ネタバレが含まれているのでご注意ください!
- ~作品紹介~
- めがねの注目ポイント
- 魅力と個性を持った登場人物
- 何も起こらない瞬間に引き込まれる
- 島の風景ときれいな宿に癒される
- 自然の音と音楽が心地よい
- 不気味さや怖さを感じるシュールな面白さ
- かき氷を食べて何かが変わったタエコ
- タエコの大きな荷物やメガネの意味は?
- 「めがね」は、たそがれたくなる映画
~作品紹介~
<公開日>
●2007年9月22日
<監督>
●荻上直子
<キャスト>
●小林聡美(タエコ役)
●市川実日子(ハルナ役)
●光石研(ユージ役)
●もたいまさこ(サクラ役)
…他
《個人的な好み度》
★★★★星4
《おすすめ度》
★★★★星4
~あらすじ~
携帯電話も使えない小さな島に降り立った主人公のタエコ。その島の人々はちょっと不思議で、タエコの今までの価値観とは異なる出来事が起きていきます。
「ハマダ」という宿を営むユージは穏やかで優しいですが、とてもマイペース。いつも笑顔で皆を見守っているサクラは、とても謎めいた存在。サクラを慕っているハルナは、教師でありながら遅刻が多い。
こんな個性がある人達にタエコは違和感を覚え、ここから離れたいと思うものの、いつしか彼女は皆と溶け込んでいくように。
タエコを探してやってきたヨモギが加わり、彼女達は穏やかに日々を過ごしていましたが、それは永遠には続きません…。
めがねの注目ポイント
- 不思議な魅力を持った島の人達
- 何も起こらない瞬間に引き込まれる
- きれいな自然と宿に癒される
- 心地の良い音楽と自然の音
- ちょっと不気味さを感じるシュールな面白さ
- かき氷を食べて何かが変わる主人公
- タエコの荷物やめがねの意味
この後、注目ポイントについて詳しく語っていくぞ
- 何も考えずのんびり映画を見たい人
- たそがれたい人
- きれいな景色や音楽が好きな人
- 人の優しさに触れたい人
- 美味しそうなご飯が好きな人
- 非日常を体験したい人
魅力と個性を持った登場人物
最初は、変な人たちに思えたり、人によってはイラっとしてしまうかもしれません。ただ、見ていくと不思議と魅力を感じていきます。
「癖があるけど、それも個性」と思うようになっていきます…。
ハッキリと思ったことを伝えるタエコ
主人公のタエコは、どこか相手と一線を引いている印象を受けます。「なるべく関わらない」「干渉されたくない」と思っているような…。
そのためなのか、元々の性格なのか、タエコは思っていることをハッキリと言います。
「結構です」「いいえ、私は大丈夫です」といったように、キッパリ断れる人物なんです。ただ、少し冷たく感じるんですよね。尖っているというか…。
だけど、物語が進むにつれて少しづつ穏やかになっていくタエコに注目です。
一番人間らしいハルナ
個人的に、ハルナとタエコは似ているなぁ、と思ってます。真面目そうな話し方とか、思ったことをハッキリと言う所とか…。でも、どこかマイペースな雰囲気もあるんですよね。
彼女は一番人間らしさがある気がします。人間の可愛い所を持っているというか…。
サクラとタエコが少しづつ仲良くなっていくのを見て、少しやきもちを焼いていたり、穏やかな表情をしながら「死にたい」と呟いていたり…。可愛らしい人物に感じます。
マイペースで優しいユージ
タエコが島にやってきて、初めに会う人物がユージ。タエコの荷物を運ぶと言いながら、それを忘れてどこかへ出かけてしまうような人。
どこか抜けているというか、マイペースというか。憎めないキャラクター性がある気がします(笑)
でも穏やかで、優しさを持っているのも分かります。タエコとハルナが悪い雰囲気になった時にも優しくフォローをしていたので、気を遣える人物なのかもしれません。
謎が多いサクラ
サクラは、島でかき氷を提供している人物なのですが、謎が多い人物です。島に住んでいるわけではなく、春になると訪れるよう。どこから来たのか、普段は何をしているのかは不明…。
ただ皆を優しく見守っており、タエコに強い口調で言われた時も穏やかなまま返答していました。
ユージやハルナは、サクラのことをとても慕っているようで、春になって島に来ることを楽しみにしているようです。
溶け込む力があるヨモギ
ヨモギも謎が多いのですが、個人的には好きな人です。ゆったりとしていて、マイペースで…どこか可愛らしさを感じます。
島の人達とは初めて出会うのに、初めてじゃないほどの溶け込み方をするのが、魅力だなと感じます。
きっと、あの空間が彼には合っていたんでしょうね。元の生活に戻った時、ヨモギはどんな生活をしているのか、気になります…。
何も起こらない瞬間に引き込まれる
めがねは、何も起こらず、誰も喋らないシーンが度々あります。きれいな景色が映ったり、人が何かをしているだけ。
意味が無いように思えるけど、その瞬間に引き込まれてしまうんです。
島の景色とかを、ぼーっと眺められる時間なんです。いつの間にか何も考えず見てるんですよね。
だけど、つまらないとかは思わなくて、癒しの瞬間になるんです。
もっとこの空間にいたいって思えてくるというか…とても落ち着くんです
島の風景ときれいな宿に癒される
この映画では、癒されるような自然の風景がたくさん出てきます。海とか緑とか…夕方の海なんかはとても見入ってしまいます。
都会的なものは出てこないので、自然なものが好きな人にとっては癒されると思います。
また、映画に登場する宿は実際に存在する場所なのですが、この宿も映画の中で、とても癒しのある空間になっていました。
風に揺られながら食事をしているシーンを見て「私もココでご飯を食べたい」と思えるほど。
自然の音と音楽が心地よい
めがねでは、海の音など、自然の音が聞こえるのですが、それもまた落ち着くポイント。
それに加えて音楽もとても心地の良いもので、映画の良さを引き立たせてくれます。
とても懐かしい気持ちになる音楽なのですが、どこか非日常を感じるようにも思えます。
予告動画でも流れているので、ぜひ聞いてみてください。
心を包んでくれるような優しい音楽だから、癒される人は多いはず!
不気味さや怖さを感じるシュールな面白さ
この映画は全体的に優しい時間が流れているのですが、ちょっと不気味に感じるような面白いシーンを楽しむことも出来ます(笑)
少し抵抗を感じるシーン
寝ていたタエコが目を覚ますと、すぐ傍にサクラが座っており、微笑みながら「おはようございます」と挨拶するんです…。言葉は悪いですが、勝手に部屋に入ってきてるんですよね。
これには抵抗を感じる人も多いかもしれません…
ただ個人的には、座っているサクラに対して「なに…?」「は…?」と、戸惑った反応をするタエコが可愛くて面白いな…と感じています(笑)
マリン・パレスの宗教感が怖い
タエコは宿泊していたハマダを出て、もう一つの宿「マリン・パレス」に移動するのですが…。
その宿の経営者の女性はタエコに対して、
「ここではね、皆でお互い協力して尊重し合い、土に触れることで自然の恵みから生きてる実感を得て、太陽、そして宇宙万物すべてに敬意を払って日々過ごそうっていうコンセプトなんです。」
と、語ります…。
午前は畑仕事で午後はお勉強会をするということもあり、少し宗教感があります…。
サクラの登場シーンがシュール
マリン・パレスを速攻で逃げ出したタエコは元の道を戻ろうとするのですが、道も把握しておらず、重い荷物を持ったままなので途方に暮れます。
そんな彼女の前に現れたのは、自転車に乗ったサクラ。
カタカタと自転車を響かせながら、涼しい表情でサクラは現れます。タエコは呆然と彼女のことを眺めるのです…。
タエコをほんの少し通り過ぎた後、自転車は止まり、サクラが優しく振り向きます。そして二人は「ハマダ」に戻りるのですが…
自転車に乗ったサクラが現れて、それをタエコが呆然と見てるのがシュールで、クスっと笑えるんだ
人によっては、こういったシーンが怖いと思ったり、不気味に感じるかもしれませんが…全体的に暖かいお話なのでご安心を…(笑)
かき氷を食べて何かが変わったタエコ
古事記では「黄泉の国の食べ物を口にすると元の世界へは帰れない」とあります
ギリシャ神話だと「冥界の食べ物を口にしたら冥界に住まなければいけない」という掟があるみたいだ
もしかしたら映画のかき氷は、そういった役割があるのかもしれません…
サクラに「氷ありますよ」と何度か誘われても、断っていたタエコ。
しかし、物語が進むにつれて心が解けていくタエコは、苦手なはずのかき氷を皆と一緒に食べるんです。
食べている間の彼女の表情は、何かが変わったようにも見えます。
もしかしたら、かき氷は「囚われることもなく、束縛もない自由な世界」に誘うものなのかもしれません。
タエコが断っていたのは、そんな世界に行きたくないと思っていたから。
でも、いざ食べてみると、もう元の世界(自由が無い世界)へは戻れない。
そして案外、良い世界だと彼女は気づいたのかもしれません。
かき氷は、自由な世界へ踏み出すきっかけなのかもしれませんね
タエコの大きな荷物やメガネの意味は?
タエコは、大きな荷物を抱えて島にやって来ます。重たそうで、スムーズに運ぶことが出来ていません。とても扱いにくいように思えます。
そんな荷物には、どんな意味が隠されているのでしょうか。
また、登場人物の共通点といえば「めがね」ですよね。タエコのめがねは最後に落としてしまうのですが…何か意味があるのでしょうか。
荷物の意味とは
ハルナに「ずいぶん大きな荷物ですね」と言われた時に、タエコは「必要なものだけ持ってきた」と語ります。
この必要なものというのも曖昧で「読もうとしてた本とか…」としか言いません。
その後、マリン・パレスから逃げ出して途方に暮れていたタエコを、自転車に乗ったサクラが迎えに来てくれるのですが、その際に荷物を置いていきます。
タエコは一瞬、荷物を乗せようとするんですが、サクラに真顔で見つめられて荷物を置いていくんです
それからは一切、荷物は出てきません。
もしかしたら、持ってきた荷物はタエコにとって、本当は必要ではなかったものなのかもしれません。
また、その出来事のあと、タエコはどこか雰囲気が変わります。
尖ってた部分が柔らかくなって、優しい表情になるんだ
今までのしがらみなどから解放された感じで、吹っ切れたようにも思えるよね
おそらく、この荷物はしがらみや固定概念など、人を縛り付けるものを表していたのではないでしょうか。
都会で暮らしているタエコは、色々な社会の常識などに囚われ、それが足かせのようになっていたのかもしれません。
それを示していたのが、大きくて扱いにくい荷物。
そんな荷物を捨てたことで、自分に必要だと言い聞かせていた固定概念や常識を手放したことになるのではないか…と思ってます。
めがねの意味
主要人物は全員めがねをかけています。
これは何か意味があるのかな?と思ったのですが、タイトルが決まった後、全員にめがねを掛けさせた。ということらしいです(笑)
タイトルがめがねに決まったのも、集まった人たち(小林聡美さんやプロデューサーなど)がめがねを掛けていたから。だそうで…(笑)
でも、最後にタエコが落としてしまっためがねには意味があると思ってるよ
タエコはめがねを落としてしまった時「あ…っ」とは言うものの、まぁいいかという表情をするんです。
何故めがねを落としてしまったのか。何故タエコは落としためがねを気にしなかったのか。
もしかしたら、めがねは見ている世界を表しているのかもしれません
タエコはめがねを通して世界を見ています。それは、サクラやユージ、ハルナと同じ。
だけど、めがねを通して「見ているもの」や「世界の見え方」は、タエコとは違うと思うんです。
つまり、ピントが異なるんです。
サクラ達は「自由で囚われない世界」にピントを合わせている。
一方でタエコは「固定概念に囚われた世界」にピントを合わせている。
だけど、島に訪れたことで彼女の見たい世界が変わり、今までのピントは合わなくなった。
だからこそ、今の彼女には、落としためがね(囚われた世界)は必要じゃないし、気にすることではない…ということかと。
きっと、その後に見つけためがねは、ハルナやユージ達と同じ世界が見れるものかもしれませんね。
「めがね」は、たそがれたくなる映画
今回は「めがね」について、色々語ってみました。考察もしてみましたが、合っているのかは分かりません汗
でも、考えるよりも感じるというのが正解のような気がします。
深く考えなくても、何か感じられれば十分なのではないかなと…。
あと、この映画を見ると、たそがれたくなります。というか、そういった時間はとても大事なんだな。と思わせてくれるんですよね。
自分にもたそがれる才能があるのか、気になるね
この映画に出会ったということは、才能があるってことなんじゃないかな
力を抜きながら、ぼーっと映画を見たい時は「めがね」がおすすめかもしれません。見た後は、たそがれてみると良いかもしれませんね。
では、自分的には語りつくしたので、これで終わろうと思います(笑)
最後までご覧いただき、ありがとうございます!