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英国ミステリーに惹かれてしまう夏夜風です
英国って魅力的だよな
シャーロックホームズなど、1800年代後半(ヴィクトリア朝)くらいのイギリスの雰囲気が私は好きなんですが…
今回、同じ時代が舞台の「切り裂き魔ゴーレム」の感想を語りたいと思います。
だいぶジメジメとした雰囲気で、最初から最後まで重苦しい空気が漂います…。
グロい残酷なシーンや女性の苦しみが映し出されることが多いので、繊細さんにはおすすめ出来ないかも…(汗)
ストーリーも複雑で、少しサスペンス要素もあるのかな?という印象がありました。
物語は、夫殺しを疑われた女性と、2つの事件の真相を解き明かそうとする刑事が中心になって動きます。
~作品紹介~
<公開日>
●2018年2月6日(日本)
<監督>
●フアン・カルロス・メディナ
<キャスト>
●ビル・ナイ (ジョン刑事 役)
●オリヴィア・クック (リジー 役)
●マリア・バルベルデ (アヴェリン 役)
●ダグラス・ブース (ダン・リーノ 役)
…他
《演出がすごい度》
★★★★星4
《残酷度》
★★★★★星5
《繊細さんへのおすすめ度》
★星1
《ミステリー好きへのおすすめ度》
★★★★星4
~あらすじ~
19世紀のロンドンのある地区では、連続殺人犯「ゴーレム」の話題で持ち切りになっていました。
刑事のジョンは、容疑者の1人が既に亡くなっていることを知り、彼を殺したと疑われる妻・リジーの元へ訪れます。
リジーは無実を訴えており、ジョンは夫殺しと連続殺人犯の両方の事件を追うことになりますが…。
「切り裂き魔ゴーレム」の注目ポイント
- 演出や語り口調が独特
- 良質なミステリー&サスペンスを楽しめる
- 事件が解決するだけでは終わらない物語
この後、注目ポイントについて詳しく語ってくぞ
- ミステリーが好きな人
- 残酷なシーンも耐えられる人
- 人々の感情や状況が入り乱れる物語が好きな人
登場人物
リジーの夫で、無名の劇作家。ゴーレムの容疑者の1人であり、犯行を知られるのを恐れて自殺した可能性が高いと刑事は考えます。
ダン・リーノ:リジーの師であり、人気俳優。ゴーレムの容疑者の1人。リジーを気にかけており、大切に思っていたよう。
アヴェリン:元女優。リジーをライバル視しており、何かと優位に立とうとします。
ストーリーの感想
物語はジョン・クリーが亡くなっているところから始まります。
彼の妻、リジーが犯人だと疑われて裁判にかけられます。
一方で「切り裂き魔ゴーレム」による犯行と思われる事件が起き、主人公のジョンは調査を進めることに。
容疑者の1人であるジョン・クリーが亡くなっている事を知り、牢にいるリジーの元を訪れます。
ジョン・クリーがゴーレムだとすれば、犯行を知られるのを恐れて自殺した可能性が高いとジョンは考え、リジーを救うためにも調査を進めていきますが…。
まず、ジョンが2人もいるから分かりづらいな!
それだけじゃなく、ストーリー自体も複雑で分かりづらい部分があるかな…という印象が。
色々な人の思惑が溢れているし、2つの事件を同時に進める形なのでついていくのも大変だったり…。
ミステリーだけどサスペンス寄りかな?という感じもしました。
でも、この映画は「英国の良質なストーリーを楽しめる」のがポイントです。
良質な英国ミステリー
ストーリーが複雑で色々な人の私情が絡み合うからこそ、観客をドキドキさせてくれるのも確かですよね。
この映画はまさにそれかな…と思います。
一筋縄ではいかないストーリーと共に、登場人物たちの複雑な心境や事実が明らかになっていき、作品に引き込まれて行きます。
英国ミステリーの良質さとサスペンス要素が、こちらを楽しませてくれるんです。
「犯人がこの人だ」「真相はこうだ」と単純に明かされていくわけでも無いので、複雑さが好きな人にもおすすめかも…。
あと個人的に、19世紀のイギリスが舞台になっているのが余計に良い…!(笑)
あの時代特有の怪しげな雰囲気が好奇心を刺激してくれるんですよね…。
物語は全体的にジメジメとしているというか…決して明るくないから、繊細な方が見る場合は気合を入れるのをオススメします…!
それでも私が最後まで見れたのは、ストーリーが良いというのと、登場人物の言い回しや演出が面白いことが理由にあります。
演出や言い回しが独特
個人的に、言い回しが独特で面白いな…という印象がありました。
本当に独特な所もあって「ん…?」ってなる時もあるんですが…(理解できないだけかも汗)
演出の仕方や言い回しが舞台っぽくて、映画というより演劇を見ているような錯覚に陥りそうになります。
これは悪い意味じゃなくてリジーという人物の半生を演劇で見ている気分になるんですよ。
これは他のミステリー映画にないような要素なんじゃないかと…!
ただ…グロさをもう少し抑えてもらえたら、ありがたかった…
結構グロめなシーンとか残酷なシーンがあるから、そこは辛かったかな…。
もちろん演出として、そういったシーンがあっても良いと思うんですけど、もう少し柔らかな表現だったら嬉しかったですね…(汗)
こういうのが苦手な人は注意です!
そして、やっぱりこういう作品は考察するのも一つの楽しみですよね。
最後の考察 ※ネタバレ
※ココからネタバレしているのでご注意ください!
夫殺し&連続殺人事件の犯人がリジーだったわけですが…
結局リジーって何がしたかったの?っていう疑問が浮かぶよな…
せっかく夫がゴーレムになってくれそうだったのに、自ら犯人だと明かして…。
最初は「よく分からない展開だ…(でも面白い)」
という感じでしたが、リジーの心境を考えると納得できる展開だったかも…。
リジーについて
リジーがゴーレムだと自ら明かしたのは大物として死んでいきたかったからなんですかね。
最後の方で、リジーがジョンに対して言っていた言葉…
「死ぬにしても夫の毒殺でなく 自分の功績で名を残したいの」
引用:「切り裂き魔ゴーレム」
これは世間を恐怖に陥れたゴーレムとして名を残したいということなんですかね…。
夫の毒殺というちっぽけな役で終わるより、世間を揺るがした大物として幕を閉じたい…っていうことですよね。
彼女はとにかく女優として成功したい…そして名を残したいという気持ちがあったんだと思いますが…
過酷な環境が、彼女の心と夢を歪ませてしまった…という感じでしょうか。
リジーは死ぬまで、自分が作り上げた舞台で役を演じてたんだろうな
ジョンについて
主人公のジョンは、なぜあんなにリジーを助けようと躍起になっていたのか。
恋心ではないですよね。
たぶん彼はリジーに自分を重ねていたんでしょうね。
世間から見たら成功者である2人は、苦労を知らないと誤解され…
でも懸命に生きていても、実力を認めてもらえない…
同じような境遇だとジョンは感じたんではないでしょうか。
だからこそリジーを救って自分も救われたかったのかも。
でも正直、ジョンの役回りが少し不憫というか…リジーに上手く転がされていて活躍を感じられなかったのが残念だったかな…。
最後の展開について
リジーが亡くなったあと、劇場ではアヴェリンがリジーを演じていましたが…。
死刑のシーンで事故が起き、アヴェリンは亡くなります…。
これって本当に事故なの? なぜダンはこのまま続けようとしたの?
という疑問が私の中で浮かびまして…。
リジーを利用して女優として返り咲こうとしたアヴェリンの因果応報…とも考えられるし
リジーを大切にしていたダンがアヴェリンを死なせようとわざと事故を起こさせたのか…
どちらもありえそう…。
そしてダンがこのまま続けようと決めた理由…。
不運な女性を演じ続けたダンが、リジーを演じたいという強い気持ちがあった…?
それを考えると、ダンがわざと事故を起こして代わりにリジーを演じるようにしたのかな…?
もしくはリジーの名前と意思を残したいと思ったから…?
んん、わからない…!
だけどリジーが舞台に蘇ってる感じで終わってるんですよね。
一度死んだ彼女が、ダンの意思と行動によって再び蘇って登場した…。
っていう素敵演出なんですかね(思考停止)
あの終わり方は個人的に好きでした。
まとめ<良質な舞台を見ているような気になれる>
今回もつたない文章で語っていきましたが…。(笑)
こういった作品は見るのに気合を入れないといけませんが、やっぱり面白いので好きです。
「切り裂き魔ゴーレム」は、映画だけど演劇を見ている気分にもなれるし、ミステリー&サスペンスだけど、1人の女性の人生を鑑賞している気分にもなれるんですよね…。
他にはない、ちょっと不思議な作品なのかも。
これはぜひ小説も読みたい…!
ということで今回はこの辺で。最後までご覧いただきありがとうございました!
【小説】